南がプルタブに指を引っ掛ける。
プシュッと爽快な音が、廊下に抜けていった。
ゴクゴクと遠慮なく鳴る南の喉の音。
それに合わせて動く喉元が、やけに色っぽく見える。
むっと抗議の視線を送っていたけど、なんか悪い気がしてきて――さりげなく逸らした。
「南はさ。……恋って、したことある?」
なんか気まずくて、後ろに組んだ手が落ちつかない。
ずっとリズミカルに鳴っていた南の喉の音が不自然に大きくなって、急に咳き込み始めた。
「ゲホッ……く、あはっ……ぶわっはははは!」
……真剣な質問だったのに。
なんで笑う?
缶を落とさないように握りしめ、前屈みで震えてる南を呆然と見つめる。
ひとしきり笑った後、南は目尻を拭いながらゆっくりと体を起こした。
「あ――、笑った!
っぱガキんちょだよなぁ、千景は」
「んなっ!?」
ガーン。
ガキんちょ!?
南は私のこと、そういう風に思ってたの?
ショックで開いた口がわなわなと震え出す。
南はそんな私にグッと近づくと、少し屈んで目線を合わせてきた。
「恋くらいしたことあるだろ。高校生よ?俺ら」



