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スタジオを出て、廊下の突き当たり。
束の間の休憩時間。
ぽつんと佇む自販機に手をついて、私は深いため息を吐いた。
だめだ、完全に苦手分野。
Flying High!の時は、感じた熱をそのまま曲に乗せればよかった。
けど、恋色サイダーは違う。
私の知らない感情を、作って乗せなくちゃいけない。
恋愛どころか、友達だって知らないのに。
自販機の強い照明が眩しい。
爽やかな絵柄のサイダーの缶がちょうど目について、また溜め息が出た。
「悩んでんなー、少年」
笑い混じりの声と一緒に、真横から手が伸びてきた。
その手が迷わずサイダーのボタンを押す。
短い電子音の後にガコンと缶飲料が落ちる音がした。
「南」
びっくりしてちょっと固まる。
ふわっとシトラスの風を起こして屈んだ、南の頭を見下ろした。
「……いや待て。少女か!」
サイダーの缶を取り出してすぐ、南は私を見上げてくる。
悪戯っ子みたいな顔に、ドキリと心臓が跳ねた。
「ちょっと!しーっ」
慌てて口元に指を立てると、南は肩を揺らして笑った。
「だーいじょぶだって。誰もいないから」
全然悪いと思っていない顔だ。



