一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―


作品名を聞いて、誰よりも大きな声が出た。

「うるさっ。なんで千景が1番驚いてんの?」

片耳を塞いだユウキが、怪訝そうに私を見る。
昊と南は「あ。」とピンときた顔をしていた。


そう。
“君恋”といえば、私が今1番ハマっている少女漫画だ。


「ええ――……俺、芝居の経験ゼロなんですけどぉ……」


当の蓮は、あまり喜んでないみたい。
なんならちょっと嫌そうにすら見える。

「嫌ならそこ変われ。僕が演る」

目を三角に尖らせたユウキが噛み付く。
昊が無表情のまま首を傾げる。

「……主演なら貞操観念終わってる役な気がするけど。
ユウキ、イメージ大丈夫そ?」

「じゃ、返す。
……じゃなくて。なんでそんなこと知ってるわけ?」

「千景に勧められて、原作知ってんだよなぁー」

昊の代わりに南が答えて、ワイワイと場が盛り上がる。

未だがっくりと肩を落としている蓮に、そっと近寄った。

「大丈夫だよ!蓮」

疲れた顔を覗き込む。
フォローを期待した蓮の目が私を見下ろした。

「昊も言ってたけど、神崎颯斗ってすっごいチャラい役だから。蓮のキャラ壊さないと思うし!」

「……千景ちゃん。フォローになってないからね?それ」

「こんにゃろ」と頭をわしっと掴まれて軽く揺らされる。


――この時の私達はまだ、知らない。
次のステージに立つまでの道が、波乱だらけになるってこと。