一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―


南を中心に、いつのまにか私達は輪を作るように向き合っていて。


「よっし、円陣でもして気合い入れるか!」


軽い調子で笑って、南が張り切って中心に手を差し出す。


「なにその青春ノリ。寒いんですけど」

言いながら、2番目に手を重ねたのはユウキで。


「ま、たまには悪くないんじゃなーい?」

ポンと置くように、乗り気な蓮も手を重ねる。


「……掛け声は?なんて言うの?」

続けて手を置いた昊が真顔でそんなことを言う。



手を重ねた4人が、最後に私のことを見る。

flying-Hiという一つの輪の中に当たり前のように入れてもらえているようで、胸がドキンと高鳴った。


「ふ、……」

ドキドキしながらそっと手を重ねる。
熱を感じたのは、5人分の手が繋がったせいなのか。


「“フラーイ・ハーイ”……とか?」

思いついた掛け声をボソッと呟く。
4人の目が急に丸くなって、変な間が開いた。


「ぶはっ、ダッサ!センスねーなぁ、千景!」

「僕らフライハイじゃなくて、“フライング”ハイね」

「あっははは!もうだめ、エモい空気台無しだわぁ」

「……ナイスファイト」


遠慮なく爆笑されて、カァっと頬が熱くなる。

「……っく、……フラーイ?」
「ハーイ!……ぶっはははは!」

「もうやめてよ!」

悪ノリする南と蓮がツボにハマってお腹を抱え出したから円陣は結局できず。



「はー、アンタ達ホント騒がしいわね。
そろそろレッスンに入っていい?ドームに立つなら1分も無駄にしてられないよ!」

ずっと静観していたSEIKOさんが、痺れを切らして手を打って割り入ってくる。
それでやっと場が締まって、いつもの練習風景が戻ってきた。



何だかグダグダで、きっとアイドルグループ史上1番締まらない初円陣。


東都ドーム。
5万人。
デビュー。


本当は怖くて仕方ないはずなのに。


――みんなとなら、大丈夫かもしれない。


そんな根拠のない確信が、胸の奥に小さく灯った。