次の瞬間――
「フィオナ!」
突き飛ばされるような衝撃のあと、フィオナは地面に倒れ込む。
身構えていた大きな痛みはやってこない。
恐る恐る目を開けたフィオナは、ハッと息を呑んだ。
「ルシアス様!」
ルシアスが両腕でフィオナを抱きしめたまま、地面に倒れていた。
「ルシアス様? ルシアス様!」
抱き起そうとして、フィオナは凍りつく。
ルシアスの背中は、血で真っ赤に染まっていた。
「いや、いやよ、ルシアス様!」
ぐったりと目を閉じたルシアスの手から、力が抜けていく。
自分を抱きしめてくれていた手がスッと地面に落ち、フィオナは悲痛な叫び声を上げた。
「いやっ、ルシアス様! お願い、いかないで。わたくしを一人にしないで。ルシアス様!」
フィオナの目から涙がほとばしる。
ルシアスを両腕で抱きしめ、必死に名前を呼んだ。
だがフィオナのその後ろ姿を、またしても山賊が狙う。
気配を感じてフィオナが振り返った時、カイルが駆け寄り、後ろ脚で山賊を蹴り飛ばした。
「うっ!」
山賊は吹き飛ばされ、地面にもんどり打つ。
苦しげに顔を歪めて立ち上がるが、今度はアーサーがフィオナ達の前に立ちはだかった。
「くそっ」
山賊はようやく諦めて去っていく。
フィオナは必死で気持ちを落ち着かせると、ルシアスを抱きしめるように、両手を背中に回して傷口に添えた。
「お願い、私に生命の巫女の力を……」
全身全霊をかけて、祈るように力を注ぐ。
やがてフィオナの両手が温かくなり、ルシアスの背中にほのかな光が生まれた。
「どうかルシアス様を助けて、お願い」
額に汗が浮かび、フィオナは苦しげに眉根を寄せる。
だが決して力を緩めなかった。
「私の命を全て捧げます。どうか、ルシアス様を助けて」
するとだんだん出血が治まってきた。
ルシアスのまぶたがかすかに動く。
そしてゆっくりと、ルシアスは目を開いた。
「うっ……」
わずかに顔をしかめてから、驚いたように視線を上げる。
「フィオナ……力を、使うな!」
ルシアスが懸命に身をよじるが、フィオナは尚も力を注ぎ続けた。
「やめろ、フィオナ……。やめるんだ!」
徐々に身体が動くようになると、ルシアスは力を振り絞って身を起こす。
「フィオナ!」
手を掴んで抱き寄せると、まるで糸が切れたように、フィオナはふっとルシアスの腕の中で意識を失くした。
「フィオナ!」
突き飛ばされるような衝撃のあと、フィオナは地面に倒れ込む。
身構えていた大きな痛みはやってこない。
恐る恐る目を開けたフィオナは、ハッと息を呑んだ。
「ルシアス様!」
ルシアスが両腕でフィオナを抱きしめたまま、地面に倒れていた。
「ルシアス様? ルシアス様!」
抱き起そうとして、フィオナは凍りつく。
ルシアスの背中は、血で真っ赤に染まっていた。
「いや、いやよ、ルシアス様!」
ぐったりと目を閉じたルシアスの手から、力が抜けていく。
自分を抱きしめてくれていた手がスッと地面に落ち、フィオナは悲痛な叫び声を上げた。
「いやっ、ルシアス様! お願い、いかないで。わたくしを一人にしないで。ルシアス様!」
フィオナの目から涙がほとばしる。
ルシアスを両腕で抱きしめ、必死に名前を呼んだ。
だがフィオナのその後ろ姿を、またしても山賊が狙う。
気配を感じてフィオナが振り返った時、カイルが駆け寄り、後ろ脚で山賊を蹴り飛ばした。
「うっ!」
山賊は吹き飛ばされ、地面にもんどり打つ。
苦しげに顔を歪めて立ち上がるが、今度はアーサーがフィオナ達の前に立ちはだかった。
「くそっ」
山賊はようやく諦めて去っていく。
フィオナは必死で気持ちを落ち着かせると、ルシアスを抱きしめるように、両手を背中に回して傷口に添えた。
「お願い、私に生命の巫女の力を……」
全身全霊をかけて、祈るように力を注ぐ。
やがてフィオナの両手が温かくなり、ルシアスの背中にほのかな光が生まれた。
「どうかルシアス様を助けて、お願い」
額に汗が浮かび、フィオナは苦しげに眉根を寄せる。
だが決して力を緩めなかった。
「私の命を全て捧げます。どうか、ルシアス様を助けて」
するとだんだん出血が治まってきた。
ルシアスのまぶたがかすかに動く。
そしてゆっくりと、ルシアスは目を開いた。
「うっ……」
わずかに顔をしかめてから、驚いたように視線を上げる。
「フィオナ……力を、使うな!」
ルシアスが懸命に身をよじるが、フィオナは尚も力を注ぎ続けた。
「やめろ、フィオナ……。やめるんだ!」
徐々に身体が動くようになると、ルシアスは力を振り絞って身を起こす。
「フィオナ!」
手を掴んで抱き寄せると、まるで糸が切れたように、フィオナはふっとルシアスの腕の中で意識を失くした。



