ハウスクリーニング山代には休みが無い

「熱っちーーーっ!!!」

変態露出魔はあまりの雑巾の熱さにやられ、高音の蒸気を身体中から出して沸いたやかんの湯気のようにピーーーッ!と窓の外に飛び出して行った。

               ー今日手伝ったお礼にと鎌本さんから渡されたばっけ味噌の壺が入ったお揃いの風呂敷包みを皆で抱え持って帰っていると、水野先生がふふっと笑った。

「川沿くんが始末屋だったなんて驚いたよ」

「むっ!…あぁ、いや、すまない。こんな事をしてるやつが昼間は教師をしてるなんて…」

「大丈夫だよ、誰にも言わないから。それに僕達はもう大親友じゃないか!」

「水野…!!」川沿はまた号泣した。

「熱苦しいったらないわ…」

「まぁまぁ風ちゃん。今回は川沿先生のおかげで正体がバレずにすんだんだから良かったじゃない」

「まぁな。それに関しては川沿先生に感謝してっけど…」

「でもまさか山代くんも始末屋だったなんてね。しかもそれを友人の加賀くんも知ってた。いやぁ、世の中って面白い事が沢山あって良いね!」

「え?いや、俺は始末屋なんかじゃ…」

「だって川沿くん、山代くんの事を“先輩”って呼んでたじゃない?鎌本さんは川沿くんの師匠って事は鎌本さんも始末屋なわけだし」

「だから俺は始末屋じゃないって…」

「だーいじょうぶ!僕、口が堅いから誰にも言わないから。ふふっ、これから宜しくね、山代くん♪」

水野先生は美しい顔で美しく微笑むと先を歩いてた川沿先生を追いかけてった。

何も言えず黙って立ちつくす俺に「……風ちゃん、どんまい」と爽太は静かに微笑んだ。

               ーその日の夜、爽太の自宅に一本の電話が入った。

「…………え」

爽太の手から受話器が滑り落ちた。

#11・おわり。