ハウスクリーニング山代には休みが無い

「風ちゃんザル取って」

「あいよ」

ぶつぶつまだ文句言ってる川沿を無視してトマトを水洗いしてると「失礼します」と誰かが教室にやってきた。

プリン柄のめんこいお稽古バックを持ってやって来た生徒を見て「わ"、わ"ん"っ!?」と川沿は驚いて床に玉ねぎを落とした。

「今日からの子ね!はい、宜しく〜!」

鎌本さんが笑って言うと「緊張するなぁ」と水野先生が照れ笑いしながら席に着いた。

「あれっ、山代くんに加賀くん!キミ達も料理教室に通ってるの?」

「いえ、俺達はお手伝いに来ただけです」爽太が答えた。

「そっか。…えっ、川沿先生!?」

存在に気付かれた川沿先生は突如出現した憎っくきライバルに動揺しながら「うっ…うっ…」と叫ぼっかな?どうしよっかな?みたいな何だか分からない小さい唸り声をあげ始めた。

また料理教室のドアが開き「先生、こんにちはー!」と入って来た様々な年代の女性陣は水野先生を見るなり「きゃ〜イケメンよ〜!!♡」と叫び、水野先生はあっという間に女性陣に囲まれた。

「う"〜〜〜……うぁんっ!!」

不満が限界を超えついに川沿先生はシーズー化し吠えた。

「これっ、何吠えてんだ!?」

飼い主の鎌本さんが怒ると川沿先生は冷蔵庫の裏に隠れた。

「めんこい奴め…」

「そこのシーズー馬鹿、ゴミ捨てといて」

爽太は鷲掴みしたトマトのヘタを俺に直接投げつけてきた。

料理教室が始まっても料理してる姿も絵になる水野先生を皆手を止めポ〜♡と見つめていた。

「あんた達コンロに火を点けたままボケッとしない!火事になるわよ!?」

鎌本さんの厳しい声に全員がはっとして「すいません!」と慌てて料理を再開し始めた。

「ってか水野先生料理上手じゃない?」

「確かに」

鎌本さんの側で料理補佐をしながら水野先生を見てると、「料理出来る奴が何で来とんねん!?」と川沿先生は悔しそうに床に三角巾を叩きつけた。