ハウスクリーニング山代には休みが無い

 朝の学校の教室のベランダでいつも通りとわなつの里と一緒に牛乳を飲んでいたら手鏡片手に浮かない表情の小松さんが俺の隣にやって来た。

「私今悩んでるの…」

「何かあったの?」

「…あのね、山代くん…今大人気の2人組美少女アイドルの“はーとにワンッ!♡”って知ってる?」

「あぁ、爽太に見せられたピンクと水色の頭したアニソン歌手」

「そうそれ!この前ね、同じ部の子にピンクの方のMOMOに似てるって言われたの。でも私は水色の方のKOKOに似てると思うの!何でMOMOなのかなぁ?あっ、でもMOMOも可愛いんだけどね!でも私はKOKO似だよな〜って」

どうでも良い悩みだった。

「あ!ねぇ、そういえば加賀くん大丈夫?」

「えっ?」

「ずっと困ってるみたいよ」

ほらあれ、と、小松さんが自分の席でガンプラを使っている爽太を指差した。

「なぁ良いだろ?あたしあんたに惚れちまったんだよ。あんたがしてほしい事みんなやってやるからあたしと付き合いなよぉ♡」

衆目監視、白昼堂々、爽太は右半分金髪て左半分がブルーのツートンヘアのド派手巨乳ギャルに、シャツからはみ出たデカパイを頭に押し付けて誘惑されていた。

恋愛に奥手な爽太は喜ぶどころかガンプラの作り方の説明書とニッパーを握りしめたまま怖がってブルブル震えている。

「誰だ、あのケバい奴?」

「3組のスケバ…桶川さんよ」

「今スケバンって言わなかった?」

「桶川さんよ。さっきちらっと聞こえた話しだと、この前自分のリコーダーを嫌がらずに山代くんに貸したとこに漢を感じて惚れたとか言ってたわ」

真の漢は嫌がらず爽太のリコーダーを使った俺の方だろが。

「キミ、3組の桶川氏だね?派手な化粧や服装の乱れは校則違反だから今すぐ直したまえ!」

長沼の奴、パッと見おとなしそうなのに意外と勇気あるよな。