ハウスクリーニング山代には休みが無い

「やめとけよ〜…俺を見た奴は皆あの世行きだ!」

じゃあ皆の前に現れんな。

「あの三つ編みと黒衣は間違いなく死神!」

「知り合いか?」

「知らな〜い」

「なら知ってるみたいに指差すな!」

黒い帽子を被った男は俺らの前でゴーカートを停めるとゴーカートに乗ったまま立ち上がった。

「俺は逃げも隠れもしちゃうが嘘は言わない怪盗Sだ!」

「なんのSだよ?」

「サラリーマンのSだ!」

成程、確かに嘘吐きじゃなかった。

「何故ガンオタなんかのしょうもねぇ絵を盗んだんだ?今すぐ返してほしいらしいからさっさと返しやがれ!」

「風ちゃん酷い!」わっと爽太が泣いた。

「これはただの囮でガンオタの絵にゃ興味はない!俺の真の目的はクイックル、お前だ!俺は強い奴が好きなんだ!俺と勝負しろクイックル!」

「酷い酷〜い!!」爽太はもっと泣いた。

「どうしたクイックル、怖気づいたか?それともクイックルワイパーの手入れを忘れて滑りが悪いのかい?」

「風ちゃんこんな人相手する事ないよ!絵だってもうどうでも…」

「爽太、バケツを深く被れ」

「!?…風ちゃん戦う気!?」

「俺のクイックルワイパーは充分速い。それに、俺に歯向かってくる糞野郎をあのままにしておけねぇだろ」

「風ちゃんまるで仮面を被ったガンダムに出てくる敵役みたい…」

爽太はバケツを被り直すと俺の後ろに一歩下がった。