ハウスクリーニング山代には休みが無い

 「……」

いつもならすぐ食いつくのに今日は黙って朝食を見つめて動かない。よくよく表情を見るとなんとなくムスッとしてるようにも見えなくない。

こりゃあれだ、“またコレか”ってやつだ。

「飽きたんなら別のフードに変えてみっか?」

心配して親父はもこの後ろにしゃがんだ。

「ダメだ。今ここで新しい飯出したらもこのやつが“しめしめそうか。食べないでいれば今よりもっと美味い飯出てくんのか。よっしゃ、それならこれからはそうしよう”って悪知恵が働いて飯係の親父を見るたび不敵に笑うようになるかもしんねぇからな」

「やだ、怖い!でも体調不良で飯拒否ってるとかだったら?」

「つい昨日2回目のワクチン打ちに病院行ったら超元気だって言われたばっかだから心配ない。だから今飯食わないのはただの我儘だ」

「んで、どうすんの?」

「血統書付きの20万の女にこれ以上贅沢させたら我が家は破産だ。飯食わないなら“食える時に食わないと死ぬ”って学習させるために心を鬼にして飯の皿を下げる!」

もこの目の前からバッと飯の皿を取り上げ無表情で台所に向かう俺の後ろを“え、何で?”みたいな顔してもこがもこもこ着いてきた。

黙って皿を洗う俺を得意のうるうる目でもこが見つめてくるが知育トレーニングに関しては俺はスパルタだ。その手には一切乗らん。

こうしてまたひとつ学習したもこはこの日を境に毎日文句言わずに必死で飯をガツガツ食うようになった。

そしておやつを好きなだけあげて甘やかしてばかりの親父はさらにもこに噛みつかれるようになった。

めでたし×2。

            おまけ番外編・おわり。

【わんわん出版社・Washaより今回の山代家スクープ!】