ハウスクリーニング山代には休みが無い

 ………ーーー完璧に目的を忘れた爽太が亮二さんとガンダムの話題で夢中になっていたので爽太をムーンベースに置いてたった1人でさっきの受け子が親切に教えてくれたアパートに行くと玄関扉の向こうから詐欺グループの奴らがあちこち適当に電話して年寄りを騙してる声が聞こえてきた。

「“婆ちゃん?オレオレ!そう孫の大輔!実は仕事で困った事があって…”」

「“あっ、爺ちゃん、オレオレ!そう息子の武志!実は飼ってた犬が近所の子供に噛みついて大怪我させちゃって…”」

どいつもこいつも“オレオレ”って、こんなくだらない事する頭持ってんならもっと世の中の役に立つ事しろっつの!!

「俺の仕事増やしやがって〜…!!」

頭にきてクイックルワイパーで玄関扉をふき飛ばすと俺の姿を見た詐欺グループの1人・ひげもじゃ男が「ぼっ、坊ちゃん!?」と驚いて立ち上がった。

「知り合いか!?」と隣に居た奴がひげもじゃに聞いた。

「俺が前に世話になってた山代組の息子さんだよ!」

「ええっ、じゃああの方が有名な若頭クイックル!?」

「よぉ東(あずま)ぁ、うちクビにされてから随分面白い事やってんじゃねぇか。俺も混ぜろや?」

「こっ、これは違うんですっ!本当違くて…!…おい誰だよ、山代さん引っ掛けた奴!?ハウスクリーニング系は電話すんなって言ったろうが!!」

「誰も電話してないって!」

「じゃあ何で坊ちゃん殴り込みに来ちゃってんだよ!?どうすんの、どうすんの!?」

「しずねっこの!全員まとめてこの場でカーッ!!」

「カーッてなんっスか坊ちゃん!?」

ごめんなさーいっ!!東達は謝りながらクイックルワイパーで窓から外へ放り出された。そして全員仲良く運良くちょうど巡回していたミニパトの上に落ちた、らしい。

               ………ーーー「チッ。過去1くだらねぇ仕事だったぜ」

パトカーのサイレンをバックにクイックルワイパーを担いでムーンベースに戻って来ると受け子の男、矢田(やだ)15歳が「山代さん!」と駆け寄って来た。

矢田は母子家庭で苦労してる母親のために小遣い稼ぎしようと闇サイトと知らずネットに載っていたアルバイト求人に応募したところ騙されて無理矢理受け子をやらされていたそうだ。