ハウスクリーニング山代には休みが無い

「あっ、そうそう!言い忘れてたんだけど…」

「どしたん、亮二さん?」

タタタッと亮二さんの方に行ってしまった爽太を見て呑気な奴と呆れていたら店の向こうの方から丸メガネをかけたスーツ姿の若い男が歩いて来るのが見えた。

「ほほぅ…」俺の目がギラッとした。

あいつが受け子だと分かったからだ。

一発で見抜いた理由は明らかにスーツに着られている感がむんむんしていたからだ。

サイズの合わないよれよれのシャツ、あれらは自分で用意した服じゃない。それとあの不安そうに泳いでいる目。間違いなくあいつ、“人を騙す事に慣れていない”。

「分っかりやす…」

よし、あのネズミを利用してアジトに乗り込むか。

後ろから近付いてって相手の肩にポンと手を置くと受け子の肩がビクッと跳ね上がった。

「このたびはうちのハウスクリーニングをご利用いただきありがとうございます〜」

「えっ、は!?あのっ、誰で…」

「黙れ」

背中にせおっていた風呂敷の中からクイックルワイパーをちらっと見せると受け子は「マジかよ!?」とさらに驚いた。どうやら俺の事を知っているようで助かったぜ。

「今すぐボスのとこに連れてけ?」

にこっと言うと受け子はごくりと唾を飲み込んだ。