ハウスクリーニング山代には休みが無い

 タイトルを紹介する時のBGMがこち亀っぽかったのが何だかこの先不穏だがそれはさておき、立てばリリーナ・ドーリアン座ればミオリネ・レンブラン歩く姿はセイラ・マス、容姿はルー・ルカ。普段クールビューティーな学園のマドンナは俺の前でだけは

「山代さ〜んっ♡!」

アイナ・サハリンのような聖女な笑顔で手を振りながら駆け寄って来た。

「ははっ、白鳥さ〜んっ♡!」

スキップしながら手を振って迎えに行ってやるしかないなんて本当に手のかかる困ったお嬢ちゃんだぜ。

「いや、あんたもだろ」と爽太が真顔でツッコンデきた。

         ……ーーー「猫とは違うのだよ、猫とはっ!」

白鳥さんと付き合う事になったので普通のカップルらしく“おはようメール”をしてたら親父の怒鳴り声が聞こえてきた。

携帯画面を鋭い眼光で睨みつけながら取り引き先とリモートで話してるランバ・ラルは竜太郎《りゅうたろう》と言い、隣のクラウレ・ハモンは美都里《みどり》。

2人は俺の両親で、ハウスクリーニング山代の店の裏に建てられた趣ある一階建ての小さな古民家は陸戦艇はなく間違いなく俺の実家だ。

通話を終えた親父はロールケーキを食べながら「おい、息子」と息子を名前ではなく息子呼びして手招きしてきた。

「なんだ糖分病太郎」

「ん?息子、もう一回言ってみろ」

「なんだ糖分病太郎」

糖分病太郎の眉がピクッと動いた。

「あんだコラ!?おめぇ、自分の親父《おやず》さ向がっで、糞はねぇべっちゃまず!おだづなよっこの、ほんでなすがっ!!」

「糞なんて言ってねぇべや!」

東北生まれ東北育ちの親父は俺と一緒で普段は標準語で話してるがキレた時だけ方言が出てくる。

シティーガールのお袋はキレる親父の隣でもこを抱っこしたままずっとにこにこ笑っている。どうやらお袋は親父が何て言ったか理解していないらしい。昔からお袋は困り事があると終始微笑んで済ませる悪い癖がある。

「チッ。朝から怒鳴りやがって!学校行って来るわ!」

「これっ待てって!まだ話し終わっ…」

「風ちゃん行ってらっしゃ〜い」

「くぅ〜ん」

これが我が山代一家である。

             ………ーーー教室に入ると「絶対トイプー!」、「いやダックス!」と、同クラ全員が愛犬の話題でプチ戦争を始めていた。こんな話しし始めた理由はおそらく昨日の夕方にニュースでやってた飼い犬を攫う“わんわん窃盗団”のせいだろうと考えられる。