叶兎くんは二人を見据え、それから私を安心させるように力強く言い切る。
「 ……胡桃を、矢面に立たせる気はない。俺が対処する。」
……叶兎くん…。
でも私より叶兎くんの方が、表に出たら何を言われるかわからない。
そんな私の考えを代弁するみたいに、時雨くんは「はぁ……」と大きな溜息をついた。
「 ……でも、今叶兎が表に出るのも逆効果だよ。映像見たばかりでしょ。」
それは、あまりにも正論だった。
映像が拡散されてからまだ数時間しか経っていない。
世間の怒りが最高潮に達しているこのタイミングで本人が姿を見せれば、それこそ火に油を注ぐだけだ。
「……でも、じゃあ、どうしたら……」
私が不安に押しつぶされそうになりながら呟いた、その時だった。
カチャリ、と再び救護室のドアが開いた。
そこに現れた人物の姿を見て、部屋にいた全員の背筋がまるで見えない糸で引っ張られたかのように一瞬でピンと伸びる。
「……!!」
部屋に入ってきたのは、私の父──朝宮麗音だった。
ゆっくりと部屋を見渡し、まず真っ直ぐに私へと視線を向ける。


