「…どうする?こんなもの、放っておいたら暴動が起きる」
時雨くんの切迫した問いかけが、重苦しく室内に落ちる。
私はただ、黙ってタブレットの映像を見つめることしかできなかった。
本当は違う……叶兎くんは悪くない。
あの男に無理やり薬を投与されてしまっただけなのに。
だけどこの最悪な映像を見せられた世間の人々にはそんな裏の事情なんて伝わるはずがない。
このままじゃ、叶兎くんがみんなの敵にされてしまう。
そんなの、絶対に耐えられない。
「……私が、表に出て説明する」
気づけば、言葉が口から突いて出ていた。
映像をよく見れば、襲われている被害者が私であることは分かるだろうから。
「被害者である私が『同意の上だった』とか『事故だった』って説明すれば、みんなも少しは──」
「駄目」
でも、叶兎くんの声が私の言葉をピシャリとはねのけた。
考える間すら与えない拒絶の即答だった。
「俺も叶兎に同意かな。…混乱している状況の今胡桃ちゃんが出たら、きっと標的になる。」
春流くんが静かに、だけど諭すように首を振る。
「それだけじゃない。『本部がハンターの不祥事を隠蔽するために、被害者の人間を脅して盾にしている』って、変な噂が広まる可能性もある」
時雨くんも春流くんの意見に同意するように深く頷いた。


