総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




叶兎くんは黙ったままじっと私を見ていた。

その瞳には、安堵と罪悪感がぐちゃぐちゃに混ざり合って揺れているみたいで。



「だから、自分のせいで傷つけたとか、思わなくていいからね。むしろ叶兎くんの方こそ随分身体弱ってたんだよ?」

「…………知ってる。今、立ってんのもきつい」



叶兎くんは自嘲気味に、力なく笑った。


そのとき、部屋のドアがノックされて、ガチャリとドアを開けて入ってきたのは春流くんだった。



「よかった、目が覚めたみたいだね。胡桃ちゃん体調どう?」

「大丈夫だよ。春流くんが治療してくれたんだよね…ありがとう」

「応急処置だけだよ。傷の塞がりが早いのは胡桃ちゃん自身の回復力。」



さらりと謙遜するように言っているけど、その手当てがなければかなり危険な状態だったと思う。

…自分でも分かるぐらい血が抜けている感覚はあったし。


言いながら春流くんは部屋の隅からパイプ椅子を持ってくると、それをガシャリと広げて腰掛けた。


少しだけ、その表情が真剣なものに変わる。



「それと、二人に伝えておくことがある」

「……?」

「例の合成血。あれが完全に叶兎の体から抜けるまで、最低でも3日はかかる。だからその間は、血液の摂取を一切控えること。……特に、胡桃ちゃんからの『吸血』は絶対ダメだからね」



ちらり、と春流くんの鋭い視線が叶兎くんに向けられた。

「特に吸血は」という言葉に強い警告が込められている。