総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




「……ごめん、近づかれると……今は…」



叶兎くんは悲しそうに眉をひそめて拒絶するように一歩下がり、私から更に距離を取った。

そんな苦しげな様子を見て、少しでも心の重荷を軽くしてあげたくて、わざと悪戯っぽく冗談めかして笑ってみせる。



「……ふふ、そんなに私の血が美味しかった?」

「……………笑い事じゃないんだけど」



けど、叶兎くんは気まずそうに目を逸らしたままボソッと呟いた。



「……あのとき、理性が全部溶けたみたいに、……何も、考えられなくなった…」



そこで、叶兎くんは言葉を濁して切った。



「……何で、そんなに平気そうなの。怖くないわけ、ないのに 」



…まぁ、実際…怖かった。

割と本気で命の危機を感じたし痛かったし。



でも。



「……だって、叶兎くんだもん。 」



真っ直ぐに叶兎くんを見つめて、微笑む。

理由なんて、それだけで十分だった。



「それに、こういうことだって初めてじゃないしね?」



2回目ともなれば、あの時よりは冷静でいられたと思う。