叶兎くんは私が握った自分の手元を見下ろして、それから私の首元の白い包帯へと視線が動く。
その瞬間、叶兎くんの表情が苦痛に耐えるように歪んだ。
「……大丈夫なわけ、ないだろ…っ」
低く、押し殺したような声。
それは自分自身へ向けられた激しい嫌悪と後悔の情だった。
叶兎くんは空いている方の手で顔を覆う。
「また、止められなかった……ごめん」
指の隙間から、潤んだ赤い瞳が覗いた。
その奥には、昨夜の暴走の名残である金色の残り火がまだ微かにちらついている。
まだ、完全には消え去っていないのだ。
「ううん、止まってくれたよ。叶兎くんはちゃんと、私の声を聞いてくれた」
「……止まったんじゃない。胡桃が……俺を止めてくれたんだよ」
……叶兎くん、また思い詰めちゃってる。
「……っ、」
「わっ、危ない……っ!」
私は慌てて、ふらついた叶兎くんの身体を支えようと手を伸ばした。
たかが点滴一本の状態で、まともに起き上がっていられないほど消耗しているのが分かる。
一気に距離が近づくと、叶兎くんはハッとして私から離れた。


