まだ焦点が定まらない様子でぼんやりと天井を見上げていたけど、やがてゆっくりと首を動かして私の方を向いた。
視線が真っ直ぐに交わる。
「……叶兎、くん。もう、大丈夫……?」
私が声をかけると、叶兎くんは何度かまたたきをしてじっと私を見つめた。
頭が混乱しているのか、目の前にいるのが私だと認識するまでに、少しだけ時間がかかったみたいに。
「……胡桃……」
叶兎くんは私の無事を自分の目で確かめたいとでも言うように、点滴スタンドをガラガラと引きずりながらふらつく足取りで立ち上がり、私のベッドへと近づいてきた。
その手で私に触れようとして──触れる直前でピタリと止まる。
空中で止まった自分の手を、恐る恐る見つめていて。
「……俺、また………」
言葉が途切れる。
私はたまらなくなって、叶兎くんの右手を両手でそっと包み込むように握りしめた。
「そんな顔しないで。……私は大丈夫だから。ほら、この通りピンピンしてる!」
心配させたくなくて明るく振る舞ってみせる。
本当に、私はもう大丈夫。
少し頭がふらつくだけでどこも悪いところなんてない。
…ただ、首の傷だけはまだ完全には塞がっていないからあまり見せたくはないけど。


