──目が覚めたのは、翌日の昼過ぎだった。
視界に飛び込んできたのは見覚えのある白い天井。
……ここ、本部の屋敷…?
ゆっくりと意識が覚醒していく。
どうやら、あの恐ろしい研究所の地下から無事に脱出できたみたいだった。
首元に違和感を感じてそっと自分の首元に触れてみると、丁寧な手つきで包帯が巻かれている。
重い体をなんとか起こして隣のベッドに目を向けると、点滴の管を繋がれた叶兎くんが眠っていた。
ベッドに横たわる叶兎くんの寝顔は決して穏やかとは言えなかった。
綺麗な眉の間にきつく皺を寄せて、時折うなされるように小さく首を振っている。
ふと、自分のベッドのサイドテーブルに、ペットボトルの水と小さなメモが置いてあることに気づいた。
『起きたら水飲んでね。点滴打ってるから、無理に動かないこと。月城春流より』
春流くんが……?
言われてみれば、完全ではないけど体の中の傷が昨日より確実に塞がってきているのが分かった。
きっと春流くんが治癒を進めてくれたのだろう。
彼は現役の医学部生だし、包帯の巻き方がプロみたいに綺麗なことにも納得がいった。
感謝しながら水に手を伸ばそうとした、その瞬間──。
「……っ……」
隣のベッドから、かすかな声が漏れる。
ハッとして振り向くと、叶兎くんが目を開けていた。


