総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





『研究は俺の生きがいなんだ。単純に趣味だよ。……まぁ、それだけじゃないけどね。』

「それだけじゃないって……」

『君にとっての赤羽くんみたいな存在、って言えば分かるかな?……俺にも、いたんだよ。どうしても手に入れたい、狂おしい存在がね』



その一言で空気が凍った。


スピーカー越しに語る男の声は相変わらず飄々としていたけど、「かつていた」という過去形の言葉が、妙に胸に引っかかって消えなかった。



「……過去形だな。」



時雨くんが鋭く突っ込む。



『まぁね。』



男はそれ以上、何も語らなかった。

不気味な沈黙だけを残して、スピーカーのノイズがぷつりと途切れる。



「……一方的に切りやがった、あの野郎……!」



九条くんが忌々しげに舌打ちをする。

琥珀は銃をホルスターに戻すと、厳しい表情でみんなを見渡した。



「今は考えても仕方ない。とにかくここを出よう。赤羽くん運べる?」

「俺が背負う。貸せ。」



九条くんが、ぐったりとした叶兎くんを軽々と担ぎ上げる。

意識のない彼の体が、力なく揺れた。



「行こう。奴の気が変わらないうちに。」



蓮水さんが先頭に立ち、周囲を確認しながら走り出す。