私の言葉に、琥珀は止血していた手を止め、ゆっくりと顔を上げた。
「……それ、俺もさっきからずっと思ってた」
琥珀の声は低く、慎重だった。
あまりにも静かすぎるのだ。
地上からは今も微かに仲間たちが暴れている爆音の振動が伝わってくるというのに、この地下二階のフロアは、まるで無人の廃墟のように物音ひとつしない。
「……普通、この場所に護衛がゼロってあり得ない」
琥珀の声に、初めて警戒とは別の……底知れない不安の色が滲んだ。
まさか、最初からすべて罠……?
嫌な予感が背筋を冷たく走り抜ける。
けれど、いつまでもここに留まっているけにはいかない。
「……とにかく今は脱出しよう、この状態で敵に鉢合わせるのは厄介。」
「…そうだね、」
私が小さく頷いて、叶兎くんを抱き起こそうとした、その時だった。
バァン!! と、勢いよく部屋の重いドアが開いた。


