…当然だ。
今の叶兎くんは琥珀からすれば、吸血鬼としての本能を剥き出しにして人間を傷つけた「危険体」
ハンターとして、ここで警戒を解く理由なんてどこにもない。
それでも私は必死に首を横に振った。
「……大丈夫……!大丈夫だから、琥珀……」
その時、叶兎くんの頭ががくんと力なく落ち、私の胸元に崩れ落ちるように倒れ込む。
ずっしりとした体重が一気にのしかかり、支えきれずに私は床に押し付けられた。
どうやら、意識を失いかけているみたいだ。
浅く不規則な呼吸を繰り返す叶兎くんを、私は必死に抱きしめる。
琥珀は銃を下ろさなかったけど、引き金を引く気配もなかった。
「……大丈夫って、首元から血ダラダラで言われても説得力ないんだけど」
呆れたように、けれどどこかホッとしたように息を吐きながら、琥珀は銃口を下げて一歩近づいてきた。
そして、私の胸に顔を埋めている叶兎くんの状態をじっと観察する。
さっきまでの狂暴な暴走状態とは明らかに違うことを、読み取ってくれたのだろう。
「……第2班のみんなに退路を確保して貰った上で、九条くんと蓮水くんにはこっちに向かってもらってる。…立てる?」
「……う、うん。」


