総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




「……くる、み……?」



その声は、私の名前を呼ぶいつもの、甘くて優しい叶兎くんの声だった。

私の名前を、ちゃんと呼んでいる。



「……うん。ここにいるよ」



叶兎くんの額に、愛おしさを込めてそっと軽いキスを落とした。

すると、私の白衣を破れんばかりに強く掴んでいた叶兎くんの手から、ふっと完全に力が抜ける。


指先を小さく震わせたまま、その手は力なくコンクリートの床へと滑り落ちていった。



「あたま、……割れそ……」



まだ瞳の金の侵食は消えていない。完全に元に戻ったわけじゃない。

それでも、今私の前にいるのは紛れもなく、叶兎くんだ。



同時に背後で、待ちわびていたロック解除の電子音が鳴り響いた。



「…やっと開いた……!」



隔壁のロックが解除されると同時に、琥珀が滑り込むようにして部屋へと駆け込んできた。

床に転がっていた私の護身用の拳銃と、自分が投げ入れた実弾入りの重厚な銃を素早く拾い上げる。


そのまま銃口を油断なく構えたまま、床に倒れ合うようにして密着している私たちを、鋭い視線で見下ろした。



「……胡桃、血だらけじゃん…!?」



私と目が合った瞬間、琥珀の顔が驚愕と険しさで歪んだ。


その銃口が、迷うことなく再び叶兎くんに向けられる。