総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




「はぁっ……はぁ…っ」



血を失いすぎた私の身体は、まるで鉛を詰め込まれたように重く、視界はぐらぐらと激しく揺れていて今にも意識が途切れて倒れてしまいそうだった。


それでも私は、叶兎くんをまっすぐに見下ろした。

感覚の麻痺しかけた震える手のひらで、もう一度、彼の熱い両頬を優しく包み込む。




──そこまでは、良かったのに。


下から私を見上げる叶兎くんの瞳。



金色の混じった赤が妖しく潤んで、乱れた焦茶の前髪の隙間から私を捉えるその視線は……。

床に押し倒されている側のはずなのに、まるで全てお見通しだとでも言うように、底知れない色を帯びていた。



そして、叶兎くんの血に濡れた唇が、ふっと小さく弧を描いて笑った。

けれど、それはいつも私に向けてくれる微笑みとは、全く違うもの。



「……っ!?」



次の瞬間、私の腰に回された叶兎くんの腕に信じられないほどの強い力がこめられて、ぐい、と強引に身体を引き寄せられる。


あまりの力に体勢が崩れ、重なり合った私たちの間に一切の隙間がなくなってしまった。


さらに、私の脚の間に叶兎くんの長い膝が割り込んできて、物理的な「逃げ場」を完全に奪われてしまう。



「……!」



密着した距離で、荒い吐息が耳元を掠めた。