叶兎くんは体を震わせながら、歯を食いしばっている。
「くる、な……お前まで巻き込んで──」
叶兎くんの中にある力はあまりにも膨大で、あまりにも凶暴だった。
私がいくら無効化しても、合成された能力の断片が次から次へと底なし沼のように溢れ出してくる。
「胡桃!限界が来たらすぐに離れて!」
後ろから琥珀の切迫した叫び声が聞こえたのとほぼ同時に、叶兎くんの手が私の両肩をガシッと強く掴んだ。
人間の力じゃない上に、暴走のせいでいつにも増して強い凄まじい握力。
赤と金が混ざり合い、染まりかけた凶暴な瞳が、至近距離で私を真っ直ぐに射抜いた。
「頼むから、……手を離せ……っ」
「…嫌。絶対に、嫌…!!」
私は痛みに目に涙を浮かべながらも、逃げるどころか、さらに力を込めて叶兎くんの大きな身体をぎゅっと正面から抱きしめた。
絶対に離さない。
置いていかない。
朔の時みたいに、私の無効化が深くまで届いてくれたら、絶対に元に戻せるはず……っ!
そう思ったその時。
今度は──背後でガシャンッ!! と嫌な金属音がけたたましく鳴り響く。
「え……っ!?」
驚いて振り返ると、私と琥珀を分断するように、天井の隙間から頑丈な格子状の金属製の隔壁がもの凄い勢いで床へと降りてきていたのだ。
完全に遮断される視界。
私と叶兎くん、二人だけの空間に。
私は、この「檻」に閉じ込められてしまった。
「……!!」


