地下二階に一歩足を踏み入れると、そこの空気は上の階とは明らかに違っていた。
ただ冷たいだけじゃない…肌にじっとりとまとわりつくような、重くて不気味な圧迫感。
廊下にはガラス張りの部屋がいくつも並び、中には拘束具のついた椅子や、用途のわからない機械が置かれていた。
さっきの実験部屋よりも、何倍も不気味な部屋。
そして一番奥。
ひときわ分厚い鉄扉が、重々しく行く手を阻んでいた。
脇には最新式のカードリーダー。
琥珀がキーをかざすと、ピ、という電子音と共に扉がスライドした。
部屋は広かった。
空間の中央に設置されているのは、天井まで届くような、巨大な透明の強化ガラスで仕切られた空間。
その中に──。
叶兎くんがいた。
椅子に拘束されていて、焦茶の髪は乱れ、服は所々破れていた。
首が力なくぐったりとうなだれていて、わずかに開かれたあの綺麗な赤い瞳は、虚空を見つめたまま焦点が全く合っていない。
そして何より私の目を釘付けにしたのは、首筋。
そこには、いくつもの注射の跡が痛々しく残っていた。


