琥珀は男の目をじっと覗き込み、その言葉の真偽を確かめるように数秒間無言を貫いた。
「嘘ついてない?」
「つ、ついてねえ…!頼む、殺さないでくれ…!」
重苦しい沈黙の後、琥珀はゆっくりと男から銃口を離して解放した。
……と思った、次の直後だった。
容赦のない蹴りが男の腹部に深く叩き込まれ、男は呻く暇もなく一瞬で意識を失って崩れ落ちた。
ドサリ、と二人の研究員が床に転がり、部屋に再び静寂が戻る。
「……胡桃、もう大丈夫だよ。出てきて」
琥珀のいつもの声に促され、私はようやく強張っていた身体を解いて、棚の影から這い出した。
見ると、琥珀はすでに倒れた男の白衣のポケットから施設の見取り図を器用に奪い取っていた。
振り返った彼の目は、いつの間にかいつもの少し眠たげな穏やかな目に戻っている。
「これ着て。研究員に紛れる。」
琥珀は手早く男たちの白衣を剥ぎ取り、一着を自分に羽織り、もう一着を私に手渡した。
「う、うん……!」
受け取った白衣はまだ前の持ち主の体温が残っているようで、奇妙な嫌悪感があったけど背に腹は変えられない。
琥珀はその間に白衣のポケットをまさぐり、厳重なロックを解除するための電子カードキーまで見つけ出していた。
琥珀……手際が良すぎる。
普段はあんなにへらへらしているのに、ハンターとして数々の死線を潜り抜けてきた彼の本当の凄まじさを、私はまた思い知らされることになった。


