「無効化があれば対吸血鬼用の罠は防げるけど、物理的な攻撃には無防備でしょ?前に見たとき、筋は良さそうだったから。まあ、あとは実戦で慣れるしかないけど」
前に橘さんに銃を勧められて試し打ちして、その時は叶兎くんに止められてそのままになってたけど………まさかこんなに早くまた銃を持つことになるなんて。
“「銃なんて持たなくていいから。俺の隣にいれば安全でしょ」“
……でも今、隣には叶兎くんはいない。
今度は私が叶兎くんを助ける番。
そのためなら、私は喜んで武器を取る。
「使い方は覚えてる?」
「…うん。なんとなくは」
「実弾じゃないから殺傷力は低いけど、当たり所が悪ければ骨くらいは折れるよ。護身用として使って」
琥珀の言葉に、ごくりと唾を呑み込む。
自分の意思で武器を持ち、誰かを攻撃するかもしれない──その現実が、急に生々しく押し寄せてくる。
「…俺は実弾の方が撃ち慣れてるから実弾だけど、ハードル高いと思うから君達に渡したのは全部特殊弾。…敵の状態によっては効果ないかもしれないから過信しすぎないようにね」
実弾に、撃ち慣れてる。
琥珀は何でもないことのように、いつも通りの微笑みを浮かべたままそう言った。
準備を終えた頃には夕陽が屋敷の屋根を赤く染めていた。
張り詰めた沈黙の中、メンバーたちが次々と車へと乗り込んでいく。


