総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





でも同時に──その「胡桃を想う気持ち」が、今の俺を激しく蝕んでいた。


さっきより遥かに強烈な、気が狂いそうな飢餓。

他者の能力を取り込むたびに、血への飢えが何倍にも増幅していく。



……会ったら、駄目だ。俺は今……。



もし今、彼女の首筋に触れたら。

あの甘い匂いを感じたら。


……自分を抑えられる自信がない。何をするか分からない。


分かっているのに、胡桃に会いたいという衝動だけが、静かに、確実に、強くなっていた。




GPSの入った俺の携帯は、この施設に入る前に気づかれて、粉々に壊された。

胡桃たちがどこまで追えているか……そもそも、この場所に見当がついているのか。



捕まった時のあの状況で、胡桃に危害を加えないでもらうには、こうするしかなかった……。


でも、この状態でここから自力で抜け出すのは、今のところ不可能に近い。

それよりも薬の影響で力が制御できず、今でも暴発寸前だ。



……あいつらを、信じるしか、ない。



今は、この溢れ出す呪いのような力を死ぬ気で抑え込む。

俺の身体なら、…まだ抑え込める。



意識を繋ぎ止めるのは、ただ一つ。

まだ脳裏に鮮やかに残っている、胡桃の笑顔だけだった。