「あのね、ピクニックに行きたいんだ」
ある日、渡が高校の前で月詠の車で凪を待っていると、学校から飛び出してきた凪がそう言った。
「ピクニック?」
「そう。渡くんはピクニックしたことある?」
凪はシートベルトを締めながら渡を覗き込む。
「ない」
「だよね。サンドイッチ持って、ピクニックに行きたい」
「俺が行くと雨になるよ」
渡は申し訳無さそうに言った。
今はそうでもないけれど、まだ能力をコントロールしきれなかった子供のころは、よくそういうことがあった。
楽しみにしている時ほど、降らないでほしいと願うほど、渡は雨を降らせてきた。
「なんないよ」
いじけた顔をする渡に、凪はニコニコと顔を上げた。
「渡くんの雨力より、夜だけだけど、私の晴れ力の方が強いもの」
「……うん、そうだね」
渡は泣くのを堪えて頷く。
「だから、夜に行こうよ。お月見ピクニックしよう」
「わかった。行こう」
凪の手が渡の手に重なった。
小さくて華奢な手なのに、見た目以上に力強く渡の手を握りしめた。
「ありがとう、凪」
「どういたしまして。サンドイッチはうちで作って持って行くね」
「じゃあ俺は飲み物とデザートを用意しようか。何がいい?」
「悩むなあ……。あ、渡くんが好きなおやつ!」
「わかった。楽しみにしていて」
行き先を相談しているうちに、車は渡の家の前のロータリーに停まった。
渡は名残惜しげに凪の手を握ってから、ゆっくりと車から降りる。
「じゃあ、また。ピクニック楽しみにしてる」
「うん、私も」
車がロータリーを出て行くまで渡が見送るのが、すっかり当たり前になった。
ある日、渡が高校の前で月詠の車で凪を待っていると、学校から飛び出してきた凪がそう言った。
「ピクニック?」
「そう。渡くんはピクニックしたことある?」
凪はシートベルトを締めながら渡を覗き込む。
「ない」
「だよね。サンドイッチ持って、ピクニックに行きたい」
「俺が行くと雨になるよ」
渡は申し訳無さそうに言った。
今はそうでもないけれど、まだ能力をコントロールしきれなかった子供のころは、よくそういうことがあった。
楽しみにしている時ほど、降らないでほしいと願うほど、渡は雨を降らせてきた。
「なんないよ」
いじけた顔をする渡に、凪はニコニコと顔を上げた。
「渡くんの雨力より、夜だけだけど、私の晴れ力の方が強いもの」
「……うん、そうだね」
渡は泣くのを堪えて頷く。
「だから、夜に行こうよ。お月見ピクニックしよう」
「わかった。行こう」
凪の手が渡の手に重なった。
小さくて華奢な手なのに、見た目以上に力強く渡の手を握りしめた。
「ありがとう、凪」
「どういたしまして。サンドイッチはうちで作って持って行くね」
「じゃあ俺は飲み物とデザートを用意しようか。何がいい?」
「悩むなあ……。あ、渡くんが好きなおやつ!」
「わかった。楽しみにしていて」
行き先を相談しているうちに、車は渡の家の前のロータリーに停まった。
渡は名残惜しげに凪の手を握ってから、ゆっくりと車から降りる。
「じゃあ、また。ピクニック楽しみにしてる」
「うん、私も」
車がロータリーを出て行くまで渡が見送るのが、すっかり当たり前になった。



