「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」





 結局、とっていた宿に泊まり、バーで今度は地ビールの呑み比べをやりながら、環奈は愚痴を言う。

「私は今、とてもいい気分で楽しいんですけど。
 課長はそうじゃないんですよね」

「なんでだ」

「だって、早く帰りたいとか。
 家に帰ってもお前いるのかとか言ってたじゃないですか」

「いや、湯上がりのお前見てたら、ああ、普通に女だったんだなと思って、ちょっと緊張したから」

「……え」

「ちなみに、今、ペラペラそんなことを言っているのは、やっぱり、花守だな、と正気に返って、緊張しなくなったから」

「帰りましょうか」

「どうした、お前が緊張したのか」

「いつも緊張してますよ。
 上司ですから。

 そうじゃなくて、そんな失敬なことを言われてまで、ここにいる意味を見いだせなくなったからです」

 花守だなあってなんなんですか。

 私はどれだけ問題外なんですか、と思う。

「いやいや、女なことはわかっている。
 だから、部屋も別にとったんだからな。

 新浜さんの方がお前より女性的で可愛らしいなとかは思うが。
 まあ、お前の方が女だからな」

「待ってください」

 ストップ、と環奈は手を差し出した。