そのあと、環奈たちは道後温泉本館を眺めた。 明治からタイムスリップしてきたような建物に、夏の風物詩であるすだれが一面にかけてあり、風に吹かれて揺れるさまは壮観だ。 「……松山に来てよかったです」 「そうか。 意外だな」 えっ? と環奈は振り向く。 「酒と食べ物のところで言うかと思った」 いやいやいや。 私にも景色を楽しむ情緒ってあるんですよっ、と言う環奈に滝本は珍しく笑っていた。