僕らが紡ぐ、不可思議な話。

 意外な一面を見て、湊は顔を綻ばせた。
「笑うなよ。……はぁ、そーいえば、お前の」
「え? 僕の?」
「誕生日」
 少し不機嫌な顔で「教えろよ」と言われて、湊は目を瞬く。
 けれどすぐに、あぁ、さっきの話かと思い出した。
「十月三十一日だよ。あともうちょっと」
「……ふぅん」
「じゃ、次! 伊吹の好きな食べ物は?」
「好きな食べ物……」
 少し考えてから、何かを思い出したのか苦々しい顔になった伊吹。
「……言いたくねぇ」
「えー? 教えてよ」
「嫌だ。無理」
 その顔が、“完全な拒否”ではなく。踏み込んでも平気そうだな、と思った湊は押せ押せモードで喋る。
 十月中旬、今日も平和に日常が流れていく。文化祭間近にして、湊は数十分かけて伊吹が甘いもの好きという情報をゲットしたのであった。