僕らが紡ぐ、不可思議な話。

 声が、聞こえた。
 綺麗な、澄んだ女性の声。微かな声だったけど、それは確かに湊の耳に届いた。
 驚いてすかさず後ずさると、教室の机に思いっきり腰が当たる。
「いっ、たあ……」
 痛むところを撫でていると、湊は気づいた。残っている生徒の視線が、湊に集まっていることに。
 ひとりの女子生徒が、不思議そうな顔でおずおずと口を開く。
「星野くん……大丈夫?」
「星野お前、今日なんか変じゃね〜?」
 男子生徒にも、にやにやとした顔でからかわれてしまった。
 湊は慌てて笑顔を作る。正直凄く恥ずい。
「えっと、あはは……大丈夫、大丈夫。ごめんね、なんでもないよ」
 みんなの言う通り、僕今日、なんか変だ……と自分で自分にも違和感を持つ。ただ単に寝不足の所為か。そう思っておこう。
 もう一度廊下へ踏み出すと、もう何も感じなかった。少し安心したが、それ以上に不思議だ。でも、気にしたら負けな気がした。
(声も……全部僕の気のせい、だよね)