僕らが紡ぐ、不可思議な話。

「ちょ、え、えり先輩、大丈夫っすか!?」
「う、うん、私はだいじょぶ。すみませんでした……!」
「い、いえ。こっちも大丈夫です。ありがと、伊吹」
「ん」
 生徒が持っていたのは水みたいだ。文化祭の準備に使う物だろう。
 かからなくて良かったとほっとする。すると、ぶつかった女子生徒の後ろからひょこっと顔を出した人物に、湊は目を瞬いた。
「高橋くん……!」
「お、星野じゃん。久しぶり……って、毎日教室では会ってるけどな」
「あ、あはは……話すのは久しぶりだよね」
 最近は高橋が伊吹を怖がるから、あまり話してなかった。久々に会話できて嬉しくなり、湊は頬が緩む。
 一方、女子生徒も伊吹を見て何だか嬉しそうな声をあげた。
「た、小鳥遊くん、ありがとう……!」
(あれ? こっちも知り合い?)
 ならば、三年生……だろうか。湊も伊吹を見るが、本人は覚えてないと言いたげに眉をひそめる。
 女子生徒は、気まずそうに俯いた。
「あ……そうだよね。私、クラスメイトの坂谷──」
「坂谷絵里奈……だっけか?」
 伊吹が自信なさそうに呟く。女子生徒は、パッと顔を上げた。今度はキラキラと目が輝いている。