僕らが紡ぐ、不可思議な話。

「お、怒って……ないの?」
「……あぁ。人を攫ったのは怒らなきゃいけねぇ。けど、今回先に手を出したのこっち側だ。さすがに怒れねぇよ」
「……」
「攫った人間たち、返してくれるか?」
 伊吹の静かな問いかけに、少女は気持ちが落ち着いてきたのか小さく頷いた。
 その瞬間、伊吹の横に吉岡たち三人が現れる。目をつぶっていて、眠っているようだった。
 ほーっと湊は密かに息をつく。一番の目的を達成できた。
「ん。じゃあ、ほら」
「あ……」
 伊吹は石を少女の前へ差し出す。少女の目が、凄い宝物を見つけたように輝いた。
「随分と家に帰してやれなくて悪かったな。後は俺たちが何とかするから、帰りな」
「……いい、の?」
「お前の家だろ? いいも何もないと思うけど?」
「っ、……ありがとう」
 掠れた、弱々しい声。けれど、少女の顔に穏やかな笑みが宿っているのを湊は確かに見た。
 少女の手が石に触れる。すると、ぱっと少女の姿は消えた。
 不思議な現象だが、もう湊は見慣れてしまった。そんな自分がなんだか少し怖い。