僕らが紡ぐ、不可思議な話。

 確かに、伊吹の言う通り湊は力もなく危ない。付いていけば、足手まといになる。
(……でも)
「伊吹の邪魔にならないようにする。別行動してでもいい」
「は?」
「だから、僕はまだ帰らない」
 きっぱりと言い切る。まさか逆らわれるのかと思わなかったのか「……なんで」と伊吹は呟いた。
「吉岡部長も、黒井先輩も、三宅先輩も、全員僕の大切な先輩だ。信用出来ないって訳じゃないけど、伊吹ひとりに任せっきりになんてしたくない」
「……」
「後悔なんてしたくないもん。僕は“僕のため”に行動する」
(僕が今帰って、そのあともし伊吹たち全員行方不明のまま、なんてことになったら……)
 絶対に、立ち直れなくなる。だからこれはただの湊のエゴだ。
 一回、湊は大事な人──兄という存在を失っている。もうこれ以上、失いたくないと思うから。ここで下がる訳にはいかない。