僕らが紡ぐ、不可思議な話。

「湊、もうバテたの? 早くね?」
「はぁっはぁ……体力はそんなないんだよ僕……」
 しかもこの山、人が通れるぐらいの道はあるが、でこぼこで転びやすく、足元に注意しながら上へ登らなきゃいけない。体力のない湊にとっては結構辛い。
「そんなんで怪異から自分の身体護れんの?」
「それは……火事場の馬鹿力的な感じで?」
「何それ」
 そういう伊吹は、かれこれ数十分歩きっぱなしだが汗ひとつかいてない。さすが祓い屋、体力は湊の数倍もあるらしい。
「ちょっとお茶飲ませて……」
「ん」
 湊が立ち止まると、伊吹も止まってくれる。その様子に、バッグから持ってきた水筒を取り出しながら湊は首を傾げた。
「伊吹、先に行っていいよ?」
「……いや、いい」
「ふーん?」
 冷たいお茶を飲んで少し体力が回復する。秋だけど、やっぱり動くと暑い。
 自分は水筒を取り出しもせず、そこら辺の木を眺めている伊吹に、訊くなら今かな、と湊は思った。