僕らが紡ぐ、不可思議な話。

「四人集まったね〜。あと一人、一時まであと数分だけど──あ、来た来た」
「え」
 湊は後ろへ振り返ろう……として、振り返れなかった。頭にぐしゃっと手を乗せられたからだ。
「いぶきっち〜! やほやほ!」
「超久しぶりだな。あ、三宅は初めましてか? こいつ三年の、小鳥遊伊吹」
「は、はい。知ってます。有名人、なので」
「ちょっと伊吹、重いんだけど──うっ」
 文句を言うと、さらに体重をかけられた。姿が見えない角度だけど、分かる。この無言の圧は伊吹しかいない。
「無理無理っ」と重さに耐えきれず声をあげると、ようやく解放された。ほっと息をつく。
「おはよ、伊吹」
「……ん」
 伊吹を見ると、当たり前だが私服だ。黒いパーカーに動きやすそうなズボンという無難な組み合わせだが、妙に着こなしている。伊吹のファンだったら今すぐ黄色い悲鳴を上げていたところだ。