僕らが紡ぐ、不可思議な話。

 ──目を覚ましましたか?
「……っ!」
 現れたのは、二十歳ぐらいの女性だった。白いワンピース、白い肌。思わず目をつぶってしまうほどの光をまとっていて、顔は見えない。そして一番奇妙なのが、蝶の羽みたいなのが背中から生え、浮いていることだ。
 声は頭に直接語りかけてくる。やっぱり昨日のは勘違いではなかった。全く同じ声だ。
 ──やっと手に入った。ずっと気になっていたんです。
 声は頭の中で何度も繰り返し響く。気持ち悪くなりそうだった。湊は顔を歪め耳を抑えるが、そうだ。耳を抑えても意味がないんだった。
「……っ、高橋くんを誘拐したのは、あなたですか……っ?」
 ──誘拐とは人聞き悪い。……まあ、そうですね。そうすれば、あなたが手に入ると思ったから。
 執着されている? 自分に何故執着するんだろうと、ゾクッと背筋がもっと寒くなった。
「じゃあ、僕を高橋くんの声で呼び出したのも」
 ──えぇ。声を変えるなんて簡単ですからね。……な、星野?
 正真正銘高橋の声だった。湊がずっと追いかけていたのは、高橋の声ではなく、本当は怪異の声だったようだ。
 高橋を守るように腕を広げながら、じりっと後ろに下がる。