僕らが紡ぐ、不可思議な話。

「兄弟とかはいるのか?」
「え?」
 兄弟? と目を瞬く。その単語に反応して、湊は胸が痛んだ。
「……いたよ。お兄ちゃんが。けど、亡くなっちゃったんだよね」
 そう。湊の兄は、湊が幼い頃交通事故で亡くなってしまった。凄く大好きな兄だったから、今でも思い出すと胸が痛む。
 なるべく明るく伝えたつもりだったけれど、伊吹はパッと湊を見た。紫の瞳に、傷ついたような色が走る。
「……ごめ、」
「伊吹のせいじゃないでしょ! ほら、探すよ」
 謝られたくなくて、湊はにこっと明るく笑う。伊吹はぐっと言葉を飲み込んだあと、湊から視線を逸らした。
 結構喋るし、何より、あの揺らいだ瞳。初対面のイメージと違って、優しい人なのかもしれない。
(次男だって言ってたし、伊吹もお兄ちゃんがいるのかな)