僕らが紡ぐ、不可思議な話。

「それがさ、先輩、好きな人がいるらしくて」
「えっ、そうなんだ。彼氏じゃなくて、好きな人?」
「そう。しかもさ、数年諦めずに片想いしてるらしくて、しかもしかも相手はすっごいイケメン! あー終わったー」
「どんまい……」
 高橋はまたまた大きなため息。どんな言葉をかけたらいいんだろうと、湊は頭を悩ませる。
 そもそも、湊は初恋すらまだなのだ。そんな恋愛初心者が、いいアドバイスを思いつく訳がなく。
「えっと……そのイケメン? って、同じ学校の人?」
 結局、質問を重ねるしかない。
 高橋は「うっ」と言葉を詰まらせもっと暗くなった顔で湊を見た。やばい、NGワードだったかもしれない。
「知らないのかよ、星野。三年の、小鳥遊伊吹(たかなしいぶき)!」
「たかなしいぶき……」
 高橋が言葉にした名前を口の中で繰り返す。高橋は、ハッとして周りを見回したあと、湊の耳に口を寄せてきた。
「俺があいつを呼び捨てにしたこと、誰にも言うんじゃねえぞ! 殺される……」
「う、うん」
 例えが物騒だな、と思ったけれど、高橋が必死な顔で言うので、湊は素直に頷く。