僕らが紡ぐ、不可思議な話。

(本当に帰って来れて、良かった)
 でも、ひとつだけ疑問がある。
「あの、どうやって助けてくれたんですか……?」
 確かあの少年──怪異は、伊吹が鏡の世界へ入ってきたことに驚いているようだった。どうやって突破したのだろうと首を傾げると、風真は「ほいっ」と手のひらサイズの何かを湊へ差し出す。
「……鏡、ですか?」
 怪異がまた出てこないようにか御札か貼られてるけど、それは確かに綺麗な手鏡だった。風真はこくんと頷く。
「うん。学校の倉庫の奥深くにあったんだけど、これが、怪異の本体。一か八か、伊吹に無理やり侵入して貰ったけど……湊くんこそ、伊吹の手だってよく分かったね」
「それは……何と、なく」
「あはっ、何それ。まあ、良かったよ、本当に」
 目を細めて「おかえり」と“兄”の笑顔で言われた。それだけで、じんわりと胸が温かくなる。
「……ただいま戻りました」
 こここそが、自分の居るべき、帰るべき場所だ。

「待って、伊吹!」
 朝方の六時。帰ろう、ということになったけれど、湊は廊下で伊吹を呼び止めた。
 話さなきゃいけないことが、あったから。