僕らが紡ぐ、不可思議な話。

 それに、居なかったはずの風真もいるということは、湊を戻すために協力してくれたのだろうか。ありがたさと申し訳なさが一気に押し寄せてきて、逆に言葉が出ない。
「あ。おはよ〜。もう戻ってきたかな?」
「戻って……? え、わっ!? なんですかこの格好!?」
 なんと湊の身体は、椅子にぐるぐると縄で縛られていた。意味が理解できず、ぽかんと口を開ける。
「ごめんね、今解くね〜」と風真は縄を解きながら、丁寧に説明してくれた。
 湊が偽物の世界に居た時間、“湊の偽物”も本物の世界に居たそうだ。外見──つまり器は同じで、しかも性格もそっくりさんだから、家族も友達も誰もそいつが偽物だとは気づかない。だから、鏡の中に引きずり込まれる、という噂はあっても行方不明者は出ていなかったそう。
 自分とそっくりの偽物……想像するだけで怖くなった。
「はい、解けた」
「ありがとうございます……。その、伊吹と風真さんは、その偽物がちゃんと偽物だってこと、分かってくれたんですね」
「ばーか、あんなのとお前を見間違える訳無いだろ」
 さすが祓い屋、と言葉を続けようとしたら、伊吹に遮られた。