僕らが紡ぐ、不可思議な話。

 そっと、ひとつの手が、湊の手にあるミサンガを触る。
 その触り方が優しくて、湊は目を見開いた。
「伊吹?」
 他の手に紛れて見えなくなってしまいそうな手を、思わずパシッと掴む。
 そして、確信した。
(これ、伊吹の手だ……!)
 一見綺麗な王子さまのような手に見えるけど、裏で努力してて、手のひらが固い。それが、伊吹の手の特徴。
「正解」
 少し嬉しそうな、柔らかい声。その声に思わず泣きそうになりながら、顔を綻ばせた。
「ありがとう」
 助けに来てくれて。
 湊は、その手に連れられてひとつの鏡の中へと飛び込んだ。

 *

 パッと目を開ける。一番に見えたのは……教室を背景に、伊吹と風真の姿だった。
(帰って、これた……!?)