──無駄だよ。あんなとこからじゃ、僕が許可しない限り入って来れない。
(いやっ……伊吹、なら)
きっと、来てくれる。そんな根拠もない希望を持ちながら、走り叫ぶ。
「伊吹! 伊吹……!」
──だから、無駄だって。
「伊吹! 居る!?」
──無駄だって言ってんでしょ!
少年の声が段々と苛ついたものに変わっていく。変わらず自分を捕まえてくる手を避けながら、また彼の名前を呼んだ時だった。
「湊!」
「……っ」
聞こえた。確かに、彼の声が。
それだけで、色々な感情で胸がいっぱいになる。
「湊! いるんだろ!?」
「うん、いる! けど……っ」
伊吹はきっと、どこかの鏡の奥に居るのだろう。
けれど……湊の目の前に広がっているのは、何十個の鏡の中から生えた、手だった。
(いやっ……伊吹、なら)
きっと、来てくれる。そんな根拠もない希望を持ちながら、走り叫ぶ。
「伊吹! 伊吹……!」
──だから、無駄だって。
「伊吹! 居る!?」
──無駄だって言ってんでしょ!
少年の声が段々と苛ついたものに変わっていく。変わらず自分を捕まえてくる手を避けながら、また彼の名前を呼んだ時だった。
「湊!」
「……っ」
聞こえた。確かに、彼の声が。
それだけで、色々な感情で胸がいっぱいになる。
「湊! いるんだろ!?」
「うん、いる! けど……っ」
伊吹はきっと、どこかの鏡の奥に居るのだろう。
けれど……湊の目の前に広がっているのは、何十個の鏡の中から生えた、手だった。

