僕らが紡ぐ、不可思議な話。

 ──星野。
 また聞こえた、高橋の声。
「っ」
 まだ聞こえる。やっぱり上からだ。
 天井を見上げると、彼は不審そうな顔をした。
「どうした」
「え……」
 だって、と彼を見る。彼は眉をひそめ首を傾げていた。
 もしかして……。
「聞こえ、ないんですか? 高橋くんの、声」
「声……?」
 何言ってんだこいつ、とでも言うように顔を顰められる。その反応で悟った。
(聞こえないんだ。僕しか聞こえない声、それとも、彼だけが聞こえない声……?)
 どちらにしても妙だ。どういうことかと頭を悩ませると、彼が「お前には聞こえるのか?」と訊いてきた。
「はい。ずっと僕の苗字を、星野、星野って」
「へえ」
 彼はその時初めて、ずっと平行線だった口角を持ち上げる。