僕らが紡ぐ、不可思議な話。

(……そういうこと、だったんだ)
 伊吹の過去、伊吹を助けた湊似の男の正体は──似てて当然だ。
 湊本人、だったから。
 唇が震える。言葉が詰まって、それでも言葉にしようとして、震える声で「えっと」と呟いた。
 その時だった。
 ──邪魔だなあ。
「っ」
 少年の声が聞こえた。湊はとっさの判断で、幼い伊吹を抱きしめる。
 ザクッ、と音がしたと思うと、湊の服が破れ、腕から出る血が顕になった。当然だが、結構痛い。
「……っ、ごめん、追いかけられてるんだ。君は逃げて」
 逃げるよう抱きしめた力を弱くすると、彼はふるふると首を横に振った。無意識なのか、湊の服をぎゅっと握っている手は震えている。
(……そうだよね。怖いよね)
 どうしよう。でも、そういえば、十五歳の伊吹は──。