僕らが紡ぐ、不可思議な話。

(うるさい、うるさい、うるさいうるさい……)
 シャリン。
 その時、右手で音がした。
(え?)
 右手を持ち上げると、無かったはずのミサンガ。
 彼の瞳の色のような紫と、湊の好きな水色で編んである、鈴のついたモノ。
『少し早いけど、……誕生日おめでとう、湊』
 さっき聞いたばかりの彼の声が、でも、確かにそれより少し柔らかい彼の声が頭をこだまする。
 その瞬間、ぶわわっと胸の奥底から何かが、温かい何かが、息が詰まるほど押しかけてくる。
 無くしちゃダメだ。取りこぼしちゃダメだ。
 ちゃんと、今度こそ──。

『こーらっ、二度寝しようとしたな〜?』
 ……お兄ちゃん。もっと一緒に過ごしていたかったけど、やっぱり、星野光は、もうこの世にいちゃいけない存在、なんだよね?
『あ、湊おっは〜』
 高橋くん。やっぱり、君に名前呼びされるのはちょっと照れくさいかも。